非正規雇用の憂鬱6

というわけで終身雇用制度の成立を柱にして、非正規雇用の拡大の理由とその問題点を説明してきましたが

ここからはようやく、まとめになります。


現在の、非正規雇用の人達はこの様な社会の変化の中で誕生し、新しい制度故にその問題点を埋めるような法制度が整ってない中で追い込まれているわけです。

話を統括すると

派遣社員という制度はこれまでの戦後日本が育てて来たある意味行きすぎたとも言える終身雇用制度への反省

毒のある言い方をするなら『派遣社員というのは終身雇用制度保護のための生贄』であるとも言えます。


ではそう考えた上でこれからどうするのか…というのがとても難しい。

非正規雇用は前にも上げましたが欠点と共に利点も持っているためです

例えば次のようなものがあります

  • 労働者が一つの会社に塩漬けにされない
  • 自分の実力よりも働いてきた年を基準にされるなんて馬鹿げた事に付き合わなくて良い
  • 労働者側が職場と期間を選べる自由を得る
  • 企業側も忙しい時節以外に社員を抱え込まないで良い(その他の期間は派遣外差を通じて他の忙しい企業で働けば良い)。

それでここからは私の意見なのですが、結局のところ日本社会はこれまで培ってきたある意味行きすぎた終身雇用制度を一度崩して考え直す時期に来ているのだと思います

その上で何処を基準にどう制度を組み合わせるかと言うことになるのですが、これは制度設計の難しいところで誰もが納得する制度というのは作れない。

利害関係者で話し合いの場を作っても「船頭多くして船山に登る」の話の通り、暗礁に乗り上げるのが目に見えています。

なので直接利害の無いリーダーシップを発揮できる人間、日本の場合それは内閣総理大臣でしょうが、行政との話し合いの上で決定をして、あとはそれに従っていくしかないのかなと思います。

自分なりにこう決定をして欲しいという意見を言うなら、日本的終身雇用制度は「会社は社員のために制度を整え、社員は会社に尽くす」という精神の点で世界最高の雇用慣行であると考えています

正直、韓国や中国、台湾等の東アジア諸国を中心に、アジア圏の諸国へ輸出できたらなぁと思っているくらいです。

なので、これまでの日本社会の変化を受け入れつつ終身雇用の慣行を守るために。

  • 正規雇用制度保護のための生贄と理解しつつも、基本的に非正規雇用という制度はめる
  • 阿部元総理の在任時に提唱した「同一労働同一賃金」を企業側に遵守させる
  • その上で不況時等に企業から弾かれた人達を守るためのセーフティネットを強化する

非正規雇用を一定数受け入れる以上、自分達が知らない間に生贄に祭り上げてしまっている人達のセーフティネットくらい用意しておこうぜ!

何故なら、次は自分たちがその立場に追いやられる可能性があるのだから。

というのを主義にしたいなと考えています。

投稿者 baban 2009/01/14 at 16:39

no comments no trackbacks

コメント

(leave url/email »)

前のコメント