非正規雇用の憂鬱5

長い話の末にやっと正規雇用の利点とその問題点を整理しました。

ここからがやっと非正規雇用の拡大のお話です。

長い不況の中で、解雇の難しい正社員は企業側からすると大変なリスクです、一度入社させると定年までの40年間そのリスクを抱え続けるある意味大変非効率なシステムです。

そのため、海外の専門家からは「日本は終身雇用制度を放棄するだろう」という意見もありました。

しかし、日本社会はそれとは逆の選択を行いました。そのため企業は次の選択枝を選びます

『正社員は解雇が非常に難しい。そのためいざという時に備えて一定数解雇が可能の労働力が必要だ』

そうして法律の改正等の、時代の波に乗る形で急速に非正規雇用という形態が社会に一斉に広がる事になります。

しかしこうして広がった非正規雇用の労働者には数々の問題が降り注ぎます。これらの問題はすべてが正社員が受ける恩恵の対極を成すものです


・まず、いざとなったら首を切るための要因。将来やめる人間に対して社員教育というコストを支払いたくない。

・次に、長く会社に残らない人間に会社への忠誠心はいらない。給料を上げるのは嫌だ。できれば同じ給料も払いたくない。


こうして非正規雇用は正当な社内での教育も受けられず、給料も上がらない。そのためいっそう働く意欲を奪い、これが非正規雇用の立場の悪化を招くという悪循環に繋がります。

もちろん、特定の会社に縛られないという利点も存在はしますが、正社員に手厚い保護が行われるため、『賃金的に正直割に合わない』そのような状況が出来ていきます。


この悪循環は何処か断たないといけないのですがこれまでの経緯を考えると

・非正規雇用の労働者からの、働いた以上差別無く賃金を受け取りたい

・経営サイドからは、やめる人間に同じ給料支払いたくない

という相反する要求を誰かが基準を設定して解決をしないといけません。

これはどちらも一理ある主張で、どちらが正しいかというのは哲学的問題でもあるので簡単にはいかないのですが、阿部元首相がその在任期間中に決定した「同一労働同一賃金」という原則は結構良いのではないかな?

と思っています。

投稿者 baban 2009/01/12 at 05:18

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