非正規雇用の憂鬱4
前回までで90年代のリストラのはじまりまでのお話をしましたが、今回はその「リストラ」そのもののお話です。
「リストラ」という単語は、日本では社員の整理解雇、さらに拡大解釈では解雇そのものを表す単語として定着してしまった感がありますが。
リストラという単語の元となった「リストラクチャリング(Restructuring)」というのは一体何であるのかを見直してみましょう。
欧米式の経営で広まったこの単語は直訳をすると"再構築"を表しており、今回の場合、主語を加えると「事業の再構築」を表します。
元々企業の経営では、経営状態が悪化すると企業の中で利益のでない部門等を閉鎖、もしくは他社への売却などを行って事業の整理を行います。
不採算の部門の整理などを行う事によって、企業側の手元にはある程度の資金が出来るのでこれを使って自社が将来行う事業への設備投資などに投資を行います。
これを行うことによって始めて企業の経営状態は改善して、業績を伸ばした企業が雇用を再開し始める事が出来る様になります。
つまりリストラクチャリングとは
整理解雇→資金の余裕を作る→将来への再投資→経営の改善
の一連の流れを全て含んで始めてその言葉の意味を成すのですが、日本ではメディアなどの影響で整理解雇のみを表す単語として定着してしまいました。
しかしこの事業の再構成という単語を考えた場合、企業が業績を取り戻すためには人員整理のための解雇が必要だという理屈にも繋がります。
もし整理解雇を行わない場合、高止まりした人件費を抱えたまま経営者は当座の資金繰りに奔走して、事業の整理を行うことも出来ない。
そして不況時には金融機関も貸し渋りを行うので、新たに融資を受けることも難しい。
しかし、日本の法制度の下では解雇を行うことも難しい。
これらのジレンマの狭間から、『いざという時には解雇を出来る労働力が一定数必要である』という考えが、現在の正規/非正規雇用という2枚舌、ダブルスタンダードの労働制度の誕生に繋がるのです。
まぁ、実際はWikipediaの該当項目を読んだ方が話は早いんですけどね…
http://ja.wikipedia.org/wiki/リストラ
投稿者 baban 2009/01/10 at 11:36