非正規雇用の憂鬱1

最近社会問題化している、派遣社員とその首切りですが、この文章は、その問題点を一度整理しようと言う目的で書かれています。

正直な話、この文章は特に専門的な言葉を並べて議論を行うと言うよりは、現在に至るまでの経緯を誰でも分かる様に順序良くまとめてしまおうという試みの基に書かれています。

そのため、自分なりの結論も最終的にはありますが、それがこの文章を書いた目的では無く、自分でもそれが良いと断言している訳ではありません。

そういう問題に関しては他に詳しい方が2ちゃんねるの該当スレ等にいらっしゃると思いますのでそちらをご参照下さい。


派遣社員のお話を始めるためには、まず現在の日本の正社員と終身雇用制度のお話から始めないといけません。

何故ならそれが現在の派遣社員制度の浸透や、その間の格差等の根本的な原因となっているためです。

正社員と終身雇用制度の誕生

正社員と終身雇用制度のお話を始めるときに最初に言っておかないといけないことは、現在の終身雇用制度というのは日本に古来よりある伝統というわけではなく、比較的最近になって生まれて来た制度だと言う事です。

もともと戦前の日本社会は、今の様な終身雇用の制度というのは存在しておらず、働く者の給与はその技能に応じて手当が出る等の一定の優遇制度はありつつも、基本的には年齢に連動する様な年功序列的なモノではありませんでした。

これは戦後初期の日本社会でも引き継がれていていたのですが、この様な給与体系が後の終身雇用制度と変化していく原因となる出来事が70年代に起きます。これが、オイルショックです。

オイルショックが経済や文化に与えた影響は多いですが、ここでは置いておきます。

雇用生成の変化に変化を与えたものが、オイルショックによる経営悪化で解雇をされた人達の次々起こした裁判です。

70年代も後半になるとそれらの裁判の判決が『解雇は違法』という形で次々に出てきます。


これらの判例の積み重ねが決定的要因になって、一度正社員として受け入れた人間をそうそう解雇出来なくなっていくと、企業側は社員を長期的な観点で育成をしていこうという姿勢に変わっていきます。

つまり、日本の終身雇用制度は、形として整って、たかだか30年程度の歴史しか無いと言うことになります。

これが何故非正規雇用を誕生させて現在に繋がっているのかというのをこれから話していくのですが、書いてみると結構分量のあるモノになりましたので、次回に続かせていただきます。

投稿者 baban 2009/01/03 at 18:54

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