Flockは何故クールか!:その1

というわけで、本題からずれ込んで、前回はセマンティックWebのお話でしたが、話を次に移しましょう。

あ、その前にHotWiredの最初の紹介記事、とその時のウチのエントリを出しておきましょうか、その方がよさそうですし…

これざらっと読んだら、次に進んで下さい


まずは、最初。Flockの本質を理解していただくために出すべき単語に

Ajax、という技術があります

(というか既に普及して耳にタコが出来てきたカンジもある名前ですね。みなさんも一応知っていると思います。)


Ajaxの仕組みは、XMLで「WebページとWebサービス」の間での相互通信を行って、リッチなインターフェースを用意するのに対して

Flockは「ブラウザとWebサービス」の間での相互通信により、よりリッチな環境を用意しているのです


Flockの凄いところの一つは、そこにあります。

そして、Ajaxを理解している人間からすれば、それは大したことの話です。

使っているフォーマットがXHTML+JavaScriptからXUL+JavaScriptに変わっただけで、それぞれのやっていることは大して変わっていないのですから。

(全ての変化は急な変化であっても、どこかで連続的なだけの話で、一つ明らかな違いが見えれば、それだけで十分に凄いんですけどね)


さて、ここらへんでメタデータと話が繋がってきます


RSSなどを見れば分かるように、「メタデータ」というのは、個々のWebサイトに独立して存在しています

そして、Webサイトは常に「人の意志」という予測できない対象によって不定期に、そして極めて流動的に管理されています。いつ更新されるか?どのような更新がされるか? サイトはいつまで存在するのか。誰に重要で、どのようなデータであるのか? Webでうごめいているデータは、とても不明瞭で、地図サービス等の一カ所にデータを集積しているサービスとは性格の異なるモノです。

このように個々に存在するデータ達を、良いアリゴリズムを当てはめて、集積、管理しているのが、現在のGoogle等のロボット型の検索エンジンですが、HTMLと違って、「メタデータ」と言うモノは、その存在目的からして当たり前の話なのですが「プログラムで容易に扱える」という付加価値がついています。


ここから、Web上にある無数のメタデータを集めて新しいサービスを作ることも可能になります

(現在だとFoaF Explorer等。極めて実験的なモノで実用価値は見いだしにくいですが…)


さらに、RSSやFOAF等のフォーマットの異なるメタデータは、それぞれが別のWebサービスとして、別の会社、別のサーバーによって動くでしょうが、サービス同士はSOAP等のアーキテクチャーで相互通信の方法が確立されています

この状況に、Flockというブラウザを最後のピースとしてはめ込みます


こうすると

  • RSS等のメタデータによって、プログラムで容易に扱えるようになったコンテンツ
  • Webサービスが収集、管理、整理を行う膨大なメタデータ
  • ブラウザとWebサービスでの相互通信による「必要な情報が、ベストなタイミングで降りてくる環境」

で、コンテンツとユーザーがナイスに繋がるのです


さらに、Firefoxのライブブックマーク等で既に実現されている

「個々のメタデータ」と「ブラウザのカスタマイズ」

を考えれば、メタデータとブラウザの繋がりも出来ます。

そして、ここで話が最初に繋がります。

「ウェブ2.0[次世代ウェブ]は、次から次へと流れてくるイベントや人、つながりの総体だ」と指摘する。より良いブラウザーというのは、この新しいユーザー環境を理解したものになるだろう。

Flockを作っている人達には、ここまでがとっく見えている。


こうして、コンテンツとメタデータとユーザーとWebサービスが有機的に、相互に、リアルタイムにデータをやりとりする状態が私にとってのWeb2.0だったりします


まぁ、コレもそもそもFlockの開発者達が考えたわけではなくって、XML革命と騒がれた時には既にそのビジョンが出ていたモノが、ここ何年かの間に

XML→RDFを基本のフォーマットに置いたメタデータ群

と具体化して来ただけで、朧気ながら見える人には見えていたのでしょうけどね。はっきり言って、この1行を読んだ瞬間「それだ!」って感動させられたんですよ、うん。

投稿者 baban 2006/04/09 at 23:32

no comments no trackbacks

コメント

(leave url/email »)

前のコメント