標準技術とジュラ紀の恐竜

本日は技術史のお話かな、自分が好きな本ですいませんがUNIXという考え方の1章から話を引き抜いて、XMLとcssの将来をお話ししてみましょう

さて、突然ですが一つ引用

人間には、3つのシステムしか作れない。いくら一生懸命にやっても、何時間、何ヶ月、何年注ぎ込もうとも結局は3つ止まりだ

これだけを言われても何のことか分かりませんが、ここから順を追ってお話ししていきます。WWWCを長く観察してきた人ならきっと頷いて頂けるはずです

さて、ご存じの方はXMLを誰が考えたのか思い出してください。

第1のシステムは、一人か、またはせいぜい数人からなる小さなグループで創られる

実際はどうだったか? これについて、ネット上の資料を探したのですが、引っかかりませんでした…、スイマセン。しかし、実はXMLの最初のアイデアを持ってきたのは一人の人間、これをまとめたのはわずが五人のグループだったりするんですよ、ビックリでしょう?

こうして起こったXMLは驚くほど時代の要請にあった物でした、やがて一部の技術者がこれに目を付けます。XMLは便利らしいという漠然とした期待が業界全体に広まります

次のステップはここから始まるのですが

第1のシステムはたいてい7人にも満たない人の頭からひねり出されるが、第2のシステム設計には、30人以上の人が参加することがある

(中略)大勢のメンバーから設計上の「貢献」を集めてみると像のように巨大でゆっくり動くプログラムができあがってしまう。たしか最初はガゼルのように軽くすばしっこい物が欲しかったはずだが

こうして参加してくださった「自称専門家」さん達を含めて、議論を…、いつまでやってんのか分からない長い長い議論を続けた委員会は、第1のシステムより長い時間をかけて滅多に役になんか立たない機能をたくさん追加したものを公開します

機能が膨大なら、仕様書も肥大化、メンバーもさらに膨れあがり、議論も長期化、さらに多くの場合下位互換性もついてきて。システムは多くの荷物を背負って歩く亀さんに成り下がってしまいます

WWWCも例に漏れず、まったく同じ道を進んでいるんですよね、ここ数年、WWWCの勧告は、段々と勧告を遅らせるようになっています

css1の公開は1996年ですが、css2の勧告は1998年、css3に関しては2001年に勧告案を出して以降(ここらへんまではマシだったと思っています)、未だに勧告に至っていません

XLinkの勧告までは4年半、XMLSchemaは1998年に標準化を開始し始めたはいいけど難航(2001年に勧告にねじ込みましたけど)、他にもXML1.1等、この関連の話題に関しては言うに事欠きません

ここに関する説明を読むならば、今、過去を振り返るなら、ほとんどすべてが皮肉にしかならないという非常にイタイ状況です、何行か抜き取るならこんな感じですかね

  • 世間は第二のシステムを鳴り物入りで歓迎する
  • システムへの関心は、増大する一方だ。メディアの注目を一身に集め、専門の雑誌がいくつも発刊される
  • 第二のシステムはぜい肉がつき、遅い

嗚呼、こんな時期があった…、イタタ…、と自分は感じずにはいられません

さて、この重くなったシステムをどうするのか? この先の部分に関しても、言及されています、それが第三のシステムです

数ヶ月後あるいは数年後、第二のシステムが言われるほどに優れたシステムでは無いことに気づき始める人が出てくる

(中略)究極のシステムのはずだったのに、結局は多くのシステムの中の一つでしかないことが明らかになり始める(中略)「第二のシステムは完璧じゃない」というつぶやきは、やがてユーザーの抗議の声となっていく。もっと良い方法があるはずだと誰もが思い始める、第三のシステムの誕生の機は熟した

比較的早く勧告されたXML関連仕様が今この時期に来ているといえます。ただ注目を浴びるだけだった技術も資料が充実して、多くの人が自分もそのシステムを使い始めますが「やりたいことが、上手くやれない」そんな場合に気づき始めます

第一のシステムは性能こそ非常に高いものの、必要な機能がいくつか欠けていた。第二のシステムでは、振り子が反対方向にふれ、機能は多くなったが性能が犠牲になった。第三のシステムでは、両者の間に最適なバランスが模索される。

さて、XML界隈ではこの第三のシステムは何が当てはまるのでしょうか? 自分には幾つか心当たりがあります

XML1.0の場合、長い議論の末にXML1.1が勧告されました。しかし、多くの無駄を含んだだけの仕様は評判は悪く、必要無い限りは1.0の使用を進められています。そう! XML1.0は第一のシステムであると同時に、第三のシステムでもあったのです、なんという完成度か…

XMLSchemaの場合はその膨大な仕様に日本を中心にRELAXを作成、無駄な機能を後回しにし、シンプルさをウリにしています。なまじ登場が早かった分、どんな欠点があるのか分かりませんが、自分の中では有力候補です

でもね、よく使われている割に…、仕様に文句を言う人を見かける割に…、第三のシステムが見あたらない物があるんですよね

それが何か? CSSの事です

とまぁ、ここまで長いお話をしましたが、実はこれはすべて話の前座、話はここから切り替わります

むしろCSSを上げるべきなんじゃないかと思うが。 CSSの極限の進化形がFlashになるのか、さて。

これを何で面白いと思ったのか、をお話ししようと思うのですが、このためにもう一つ説明しておかなければならないことがあるんですよね

もしかしたらそれは、蛇足になってしまうかもしれないと不安ですが、もう少しおつきあいを…

投稿者 baban 2004/10/28 at 11:52

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