ブラウザという寡占市場

今回はちょっと経済のお話かな

話の書き出しとしては突然ですが、産業というものは、次の図の様に例外なく4つの段階を踏んで進歩していきます

名前を付けると「黎明期」「発展期」「成熟期」「衰退期」

黎明期は産業の始まりどき、一部の好き者がそれに飛びつくだけで、ノウハウも無い幼児期です

発展期は産業が注目されて、大きく飛躍する時期、このとき雨後の竹の子のごとく会社の数が増える時期にあります

成熟期は掘れる可能性のある市場を掘り尽くし始めた時期、息詰まった市場は売れ線以外の商品にも力を入れ始めて多様化、細分化が起こります

そうして行き着く所まで行った企業は、競合する他の業界にシェアを奪われたりしながらしだいに力のある数社のみの寡占状態になります

試しにひとつ分かりやすい例を挙げて、エロゲ業界を例に取ってみると次の図のようになります

とまぁ、こんな感じ、エロゲ業界は完全に成熟期に入ったって事になりますね

このまま順当に行くと、滅びるべきソフトハウスが何割か消えて、残ったブランドは次第にどっかの傘下としてに組み入れられる、で、なんかもっと面白そうな競合メディアが出てきて注目されなくなっていく、という流れになりますね。余談ですが

で、今度はブラウザ業界をこのグラフに当てはめてみましょう。細かいところを気にしないなら、自分には大体こんな感じに見えます

つまりはこの考え方を信じるなら、ブラウザは成熟期の中盤を過ぎているって事になるんですねぇ

証拠といえる物も幾つかあります

一つ目に、ブラウザは寡占化されていること、開発能力でついていけなくなったメーカーは淘汰されて市場から消えています

二つ目が標準化、WWWCにHTMLが、ECMAにJavaScriptが標準化されて、ブラウザ依存のタグが消えて無くなりました。そして決められた標準を守りながら、細かい所でどう差を付けるか、逆を言えばアイデア一発で決定的な差を見せることが難しい状態になっています

技術に関しても、Mosaicブラウザを起点とするなら、関連技術の開発というと、大体10年くらいで限界に来て、特許数も経る傾向にありますから。ブラウザ自体緩やかに行き着くところへランディングダウンしている途中なんですよ

とまぁ、こんなお話をしましたが少し意地悪なことに今までの内容は大きな間違いを一つ含んでいます

考えてみれば、ブラウザというプログラムの重要性は年々増してきていますね。理由はね、…ちゃーんとあるんですよ

ActiveX、プラグイン、XML…。キーワードはここのあたりにあるのですが、1993年後半にMosaicが登場して、ホームページっていう文化が幕を開きましたが、この市場にライバルは結構簡単にやってきました。

1995年…、ズバリ、JavaとFlashの事です。しかしまぁビックリした事に、ブラウザは拡張機能としてあっさりとこれらを取り込んでしまっているんですよね、1998年に、XMLが登場しましたがこれも次第にブラウザへ取り込まれています

まぁ、例を挙げるのはここまでです。回答を言いましょう。成熟期にあるのはブラウザじゃないんですよ。じゃあそれは何か? 実はHTMLなんです。画像以外は何もかもHTMLだった時代が終わりを告げてFlashが、Javaが、RSSが取るべき分野を奪って、HTMLで何でも無理していた時代が終わって、HTML自体は成熟期の終わりくらいへ入り始めているのでは、と自分では思っています

投稿者 baban 2004/10/27 at 18:38

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